入浴介助は、介護職員の仕事の中でも欠かせないことの1つである。しかし転倒など事故が起こりやすい仕事でもあり、細かな点まで注意しなければならない。入浴介助中に起こる事故にはどのようなものがあるのかというと、最も危険度が高いのは転倒だ。若くて健康なときであれば、浴室の床で滑るようなことはあまりないが、足腰の筋力が衰えてバランスを保ちにくい高齢者にとっては、床が濡れている浴室は転倒の危険が高まる場所なのである。
実際に、高齢者が浴室内で転倒した結果、左大腿骨転子部の骨を折ってしまった上に股関節に障害が残ったという事例もある。他にはどのような事故があるのかというと、溺れることが挙げられる。水位も高くなく介護職員の目もあるため問題ないだと思われがちだが、入浴しようとしてバランスを崩して頭から浸かってしまったり、入浴中に意識障害を起こしてしまうなど、予想できない事態が起きて溺れてしまうことがあるのだ。
小柄な高齢者が入浴中に体が浮いてしまい、前のめりになって顔がお湯に浸かって溺れそうになった、という事例もある。このような事故が起こった高齢者は、結果的に入浴が怖くなったと入浴を拒否するようになることもある。このような事故を防ぐためには、入浴介助中は絶対に高齢者から目を離さないことが何よりも大切である。何故なら事故が起こるときというのは、介護職員が目を離した数秒の内に起こることが多いためである。1人で介助をせず複数人で行うことで、事故が起こる危険性を減らすことができるだろう。